タイプ996 ポルシェ 911 カレラ4S カブリオレ
車検整備でご入庫いただいたK様のポルシェ996 カレラ4Sカブリオレ。
まずは法定24か月点検を実施し、各部の消耗状態やコンディションを確認するとともに車検をクリアできるように各部の調整・整備を実施します。
ヘッドライトの調整
ヘッドライトの光軸や光量は安全なナイトドライブに欠かせません。
車検でも厳しくチェックされますので、適切に調整・整備を行います。
タイヤの残り溝や空気圧の確認
「タイヤは、生命を乗せている」と某タイヤメーカーの広告でありましたが、スポーツカーであるポルシェにとってタイヤは命綱のようなものといえます。
車検ではタイヤの溝の残量や摩耗具合をチェックされます。
車検整備時には残り溝の深さはもちろん、リフトで車体を上げて普段は気付きにくいタイヤのトレッド面や内側のサイドウォールの摩耗やキズなども確認しています。また、空気圧も意外と減っているものですので、確認、調整を行っています。
車体下まわりおよびエンジンルーム内の点検
車検の本番では検査官が地下に掘られたピットから車の下回りの状態(油漏れや各部の緩み、マフラーの状態など)をチェックされます。
車検前の点検整備ではもちろん下回りをしっかりと確認、オイルや冷却水の漏れ、そしてマフラーの排気漏れ等がないか点検します。
こちらの996はエクセレント! 非常に良好なコンディションでした。
また、エンジンルーム内も同様に点検します。
日常のメンテナンスのスケジュールにもよりますが、このタイミングでエンジンオイルやブレーキオイルの交換をご提案することが多いですね。
加えて今回はK様より「ウォーターポンプなど水まわりも点検して欲しい」とのご要望があり、しっかりと確認。ベルトやウォーターポンプ、ホース類などはまだ交換時期ではありませんでしたが、冷却水の色が濁りのある変な色になっていることが確認できました。
K様に確認したところ、以前に他の整備工場で冷却水を補充したとのこと。
本来ポルシェの純正クーラントはピンク色ですが、それとは異なるグリーンのものが継ぎ足されたようでした。そのせいで色が混じって濁った感じになっていたのです。
機能的には問題ないかも知れませんが、劣化具合がわかりにくいため、交換をご提案させていただきました。
幌が開閉できない! 油圧シリンダーに不具合
車検での点検項目とは直接関係はありませんが、今回K様より事前に「幌が開閉できない。右の油圧シリンダーが漏れているようだ」とご相談をいただいておりました。
996カブリオレのソフトトップは油圧シリンダーの働きで開閉する仕組みですが、油圧を掛けてみたところ、ご指摘通り右側のシリンダーから盛大な油漏れが!
さらには左側からも若干の漏れが確認できたため、左右同時の交換をご提案しました。
純正新品かリビルド品か?
996カブリオレの幌開閉用の油圧シリンダーは純正の新品に交換すると、部品代だけでも片側で16-7万円ほど。両側となると30万円以上になってしまいます。
K様もそこはご存じで「ネットで見たのだけれど、安価なリビルド品もあるらしくて、探せないかな?」とご希望でした。
たしかに検索してみると「リビルド品に交換した」といった記事もいくつか見つかったのですが、調べてみても出どころの不明瞭なものばかり…実際に問い合わせてみても「今はやっていない」などと芳しくない返事の連続でした。
結局、ロールスなど他メーカーでの実績は見つかるものの、なぜかポルシェのものを扱っているところは見つかりませんでした。
一方、純正新品の油圧シリンダーはなぜか国内在庫も非常に潤沢でした。
K様はこの996にこれからも長く乗っていきたいとのことでしたので、やはり品質も確かで部品の寿命も長い純正品での交換をオススメさせていただきました。