ポルシェ 911 カレラS タイプ997
東京都港区にお住まいのT様から、「ポルシェ997カレラSの水温計がゼロになってしまう」とご相談をいただきました。
今回は、その原因と実際の作業内容をご紹介します。
お客様からお聞きした症状
症状
- 水温計がゼロに落ちては復帰をくり返していたが、常にゼロを指すようになった
- 120度の横のランプが点灯した
- 季節に関係なく、エンジン始動時から冷却ファンが常に全開で作動している
- ファンの影響か、高速道路を走っても油温が90℃まで上がらない
- 暑くなってきたので気づいたが、エアコンの冷風が全く出ない
実は、昨年から「冬場に水温計がゼロに落ちる」という症状が出ていたのですが、今回はさらに症状が増えていました。まずは不具合箇所を特定するために、ご入庫いただき診断をします。
ポルシェ純正テスターによる診断
下記の不具合が表示されていました。
- サーモスタットの開固着
- エアコンプレッシャーセンサーのガス漏れ
①サーモスタットの開固着は、様々な症状の根本原因と考えられ
②エアコンプレッシャーセンサーのガス漏れは、エアコン不調の原因となります。
まずは、診断機に表示されていた「サーモスタット開固着」から見ていきます。
様々な症状の根本原因
1.サーモスタットの不具合
まずは、診断機に表示されていた「サーモスタット」を確認したところ、本来開いたり閉じたりする温度調整弁(サーモスタット)が固着し、開きっぱなしなっていました。
これが原因で冷却し続けることになり(オーバークール状態)、水温計がゼロになる・冷却ファンが常に全開・油温が90℃まで上がらないといった症状を引き起こしていました。
- 温度が上がる → 弁が開く → 冷却水がラジエーターに送られる
- 温度が低い → 弁が閉まる → 冷却水がラジエーターに送られない
と、機能します。そのあため今回故障していたサーモスタッドを交換すれば、今回の不具合は解消されそうです。
しかし、実は他にもチェックすべきところがあります。
診断機には表示されていませんでしたが、ATの997カレラSはATオイルも冷却システムで管理されているため、こちらにも不具合が起きている可能性があります。
次はATミッションオイルの冷却系統のチェックをしていきます。
2.冷却システム・部品の経年劣化
点検を進めると、負圧ホース、ATオイルクーラー切り替えバルブ、温度センサーの経年劣化が見つかりました。



これらも部品の交換が必要になります。
サーモスタットとこれらの部品も交換をし、水温計周りの不具合は解決しました。
エアコン不調
「エアコンの冷風が全く出ない」という問題に対しては、「エアコンプレッシャーセンサーのガス漏れ」が原因と診断でわかりましたので、
- プレッシャーセンサー交換
- Oリング交換
- エアコンガス補充
上記の対応で不具合は解消します。
作業完了
不具合のあった部品の交換など作業が完了し、最後にエラーが残っていないかをテスターで診断。
無事、すべての不具合が解消しました!
使用した部品について
診断、点検結果をT様にご報告した際に、
とお言葉をいただいたこともあり、相談の結果、今回はセンサー系部品の中で、より信頼のおける純正部品で修理をさせていただきました。
しっかりと解決できて良かったです。また何かございましたら、お気軽にご相談ください。
今回も997カレラSの修理をお任せいただき、ありがとうございました!