ポルシェ 911 カレラ タイプ997
「ポルシェの窓を開け閉めするときに変な音がする」というご相談をよくいただきます。
あるオーナー様からは、異音をしばらくそのままにしていたところ、突然窓が閉まらなくなり、雨が入ってきて困ったと修理ご依頼をいただいたこともあります。
今回は、買取をさせていただいた997カレラPDKで同様の症状があり修理を行いましたので、実際の作業の様子や異音の原因をご紹介いたします。
運転席側パワーウィンドウからの異音
こちらは買取をさせただいた、ポルシェ997カレラ(PDK)。
運転席側のパワーウィンドウを点検していたところ、窓を開けるときだけ「キュキュッ」という異音が発生していました。
窓の開閉動作自体には問題がないため、見過ごされやすい症状ですが早めに対処する必要があります。
異音を放置すると……
実際にこのようなご相談もいただいています。
小さな異音や、動作の違和感を放置することで、思わぬトラブルが起こってしまう可能性もあるんです。
異音の原因特定作業
ドアパネルの取り外し
異音の原因を特定するため、まずはドアの内張りから慎重に取り外していきます。


内張り→スピーカーユニットなどを一つづつ取り外していきます。
異音の原因は古くなったレギュレーター


パワーウィンドウメカニズムの内部を点検した結果、パワーウィンドウレギュレーターの経年劣化によるワイヤーの緩みが原因であることが判明しました。
レギュレーターとは
- 窓ガラスを上下に動かすための重要な部品
- 内部のワイヤーが巻き取られ伸縮することで窓が上下に動く
- ワイヤーが劣化により緩むと動作に異常が発生する
こちらの997カレラは2009年式ということで、登場から15年以上が経過しているため、使用状況によってはこういった不具合が発生する可能性があります。
古くなっていた運転席側のレギュレーターを取り外し、新品のポルシェ純正レギュレーターに交換しました。
実は難しい窓ガラス位置の調整
新しいレギュレーターを取り付けた後、窓ガラスの位置を正確に調整をします。
以前、ご自身でレギュレーターの交換をしたことがあるというオーナー様がいらっしゃいました。
ポルシェの純正部品ではなく、社外品のレギュレーターを選ばれそうですが、取り付け位置の調整に大変苦労されたそうです。
特にポルシェは、一般的な国産車と異なり911の窓ガラス側には窓枠がついていません。
そのためドアハンドルに手をかけると自動で数センチ窓が下がり、ドアの開閉が終わるとまた自動でピタッと戻るという仕組みになっています。
レギュレーターを交換すると、窓ガラスの上下動作の基準位置が微妙に変わることがあります。
そのため適切な調整を行わないと、窓と車体の間に隙間が空いて雨水が侵入したり、逆に飛び出た部分がドアの開け閉めの際に干渉してしまう原因になるのです。
ドア接合部のパーツ交換


レギュレーターの交換作業中にドアカバー接合部の内張に取り付けられている部品(クリップ)のシール部分に劣化がみられました。
雨漏れしてしまう可能性があるため、将来的なリスクを考えこちらも新品に交換しました。
シール部分の劣化で起きる困った現象
シール部分が劣化すると、この隙間から水が内部に染み込み、ドアを伝って足元のマット下のスポンジ部分などが濡れてしまいます。
ここまで水が浸入してしまうと乾燥させるのに時間がかかりますし、そのまま乾燥させずに放置してしまった場合には、湿気による電装系統への影響や、カビ・異臭の原因にもなってしまいます。
「なぜかマットの下が濡れている…」という場合は、ドアパーツからの染み込みを疑ってみると良いかもしれません。
こちらの997もレギュレーターの交換後は、パワーウィンドウからのキュキュっという異音もなくなり、開け閉めもスムーズになりました。
修理工場ならでは『安心の販売車両』


Jスクエアではお客様からの買取や、オークションで仕入れた車両を自社の整備工場で点検修理を行なっています。
問題がある箇所の修理、そして、今後問題が起きる可能性があると予測される箇所の予防整備もしてから販売しているため、生産から年数が経っているポルシェも安心してお乗りいただけます。(ご購入後のサポートもお任せください)
今回ご紹介したこちらの997カレラは、右ハンドルで本革シートオプション付き。
運転席側のパワーウィンドウも万全の状態です。
▼現在Jスクエアで販売中のブラックメタリックのポルシェ 997 カレラPDK