

今回は、ポルシェのオプション装備のひとつ「PADM(ポルシェアクティブドライブトレインマウント)」についてご紹介したいと思います。
先日、718スパイダーに乗るお客様が車検でご入庫くださいました。その際に「PADMの警告灯が点灯しているので、合わせて確認してほしい」というご要望をいただきました。PADMについて聞き慣れない方も多いかと思いますので、この機会に仕組みから修理方法・費用感まで、詳しく解説したいと思います。
PADMとは?

PADMとは「Porsche Active Drivetrain Mount(ポルシェアクティブドライブトレインマウント)」の略で、電子制御式エンジンマウントのオプション装備です。
前方にエンジン、後方にミッションがあり、エンジンの後ろ側の左右で支えているのがエンジンマウントです。PADMはこのエンジンマウントの硬さを電子制御で切り替えられる仕組みになっています。
通常走行時はノーマルの柔らかいマウントとして機能しますが、スイッチをオンにするとマウントが硬くなります。エンジンは走行中に常に揺れているのですが、マウントが硬くなることでこの揺れが抑制され、引き締まったシャキッとした走りが楽しめるようになります。
PASMとの違いは?

似たような装備として「PASM(ポルシェアクティブサスペンションマネージメント)」をご存知の方も多いかと思います。PASMはショックアブソーバーの減衰力を切り替える装備で、通常走行では快適な乗り心地に、スポーツ走行では硬めのセッティングに変えることができます。
PADMはこのPASMと役割がよく似ていますが、対象がエンジンマウントである点が異なります。PASMとPADMを組み合わせることで、車の構成感が1段上がったような感じになります。普段よりも少し積極的にアクセルを踏んでいける安心感があり、非常に優れた装備だと思っています。
警告灯が点いたら、走行は大丈夫?
警告灯が点灯すると心配になりますよね。ただ、PADMの警告灯が点いた場合に実際に変わるのは「エンジンマウントが硬くなるかならないか」という点だけです。つまり、PADMの電子制御機能が使えなくなるだけで、通常の走行自体には基本的に問題ありません。
ちなみに、この警告灯が点くケースとして多いのは同年式の981系・991系です。718スパイダーでも同様の症状が出ることがあります。
修理方法と費用について

PADMが故障した場合の修理方法は、大きく2つあります。
① 純正の電子制御式エンジンマウントに交換する
本来の修理方法です。PADMの機能を完全に復活させることができ、ポルシェ本来の走りを取り戻すことができます。
ただし、費用が高額になります。エンジンマウントは片側1個だけで部品代が約27万円。作業工賃を含めると片側で約30万円かかります。さらに、片側を交換してしばらく経つと、もう片方も劣化してダメになるケースが多いため、結果的に両側交換することになりがちです。その場合、トータルで約60万円ほどかかることも珍しくありません。
予算に余裕がある方には、こちらの方法をおすすめしています。ポルシェ本来のシャキッとした走りをしっかり堪能していただけます。
② ノーマルエンジンマウントに換装+コーディング変更
費用を抑えたい方向けの選択肢です。
電子制御式のPADMマウントではなく、通常のノーマルエンジンマウントに交換し、車両の設定をPADM非搭載仕様にコーディング変更します。こうすることで、PADMの機能はなくなりますが、通常のポルシェとして問題なく乗り続けることができます。警告灯もきちんと消えますし、車検も問題なく通ります。
費用は左右両側交換しても15〜20万円以内に収まることが多く、純正修理と比べて大幅にコストを抑えられます。シャキッとした感じはなくなりますが、普段通り走る分であれば何ら問題ありません。
まとめ

実際の作業風景も動画でご覧いただけます。
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